東京都練馬区の民泊施設の改修工事に伴うアスベスト事前調査事例

2026年3月、東京都練馬区の民泊施設で、改修工事に伴うアスベスト(石綿)事前調査を行いました。室内の天井・壁・床と、天井裏の配管・ダクトまわりから計14検体を採取して分析した結果、天井裏の配管の保温材とダクトの断熱材はアスベスト不含有でした。

一方で、浴室天井のフレキシブルボードからクリソタイル(白石綿)を5〜50%、浴室の壁のタイル下地と食堂の壁のケイ酸カルシウム板第一種から0.1〜5%検出しました。

目次

調査概要

調査日2026年3月
所在地東京都練馬区
建物民泊施設
工事の種類改修工事
調査対象浴室・食堂・トイレ・脱衣室・廊下・和室・押入れ・バルコニー・天井裏の建材(計14検体)
調査方法目視調査・検体採取・分析(JIS A 1481-1 偏光顕微鏡法による定性分析)
調査者建築物石綿含有建材調査者
分析公益社団法人日本作業環境測定協会「石綿分析技術評価事業」の合格認定を受けた分析者が担当

依頼の経緯

民泊施設の改修工事を行うにあたり、民泊事業を営む事業者様からご依頼いただきました。

改修工事でも、工事で手を加える建材は着工前に事前調査が必要です。本件では、室内の天井・壁・床に加えて、天井裏を通る配管の保温材とダクトの断熱材も調査しました。

調査の様子

天井裏の配管の保温材

天井裏の配管は、布状の外装で巻かれていました。外から見ただけでは、中の保温材の種類は分かりません。カッターで外装ごと一部を切り取り、内部の黄色い繊維状の保温材を採取しました。

天井裏の配管の保温材(採取前)
採取前:布状の外装で巻かれた配管
天井裏の配管の保温材(採取中)
採取中:カッターで外装ごと一部を切り取る
天井裏の配管の保温材(採取後)
採取後:内部の保温材を密閉袋に収めて分析へ

天井裏のダクトの断熱材

ダクトは、銀色の外装材の下を黄色い繊維状の断熱材で覆われていました。配管の保温材と同じ種類の建材です。外装材がめくれている部分から断熱材を採取しました。

天井裏のダクトの断熱材(採取前)
採取前:銀色の外装材の下に断熱材がある
天井裏のダクトの断熱材(採取中)
採取中
天井裏のダクトの断熱材(採取後)
採取後

室内の建材

浴室・食堂・トイレ・脱衣室・廊下・和室・押入れの天井・壁・床と、バルコニーの外壁からも、建材ごとに検体を採取しました。

調査結果

No.採取箇所建材結果石綿の種類推定含有率
1浴室 天井フレキシブルボード含有クリソタイル5〜50%
2浴室 壁タイル下地含有クリソタイル0.1〜5%
3浴室 床タイル下地含有なし——
4食堂 天井ボード(石こうボード)含有なし——
5食堂 壁ケイ酸カルシウム板第一種含有クリソタイル0.1〜5%
6食堂 壁パネル・ボード(石こうボード)含有なし——
7トイレ 壁クロス含有なし——
8脱衣室 壁モルタル含有なし——
9廊下 床タイル下地含有なし——
10和室 壁クロス含有なし——
11押入れ 壁クロス・ボード含有なし——
12バルコニー 外壁塗装材含有なし——
13天井裏断熱材(ダクト)含有なし——
14天井裏 配管保温材含有なし——

※含有率は定性分析による推定値です。

この調査から分かったことは2つです。

  • 天井裏の配管の保温材とダクトの断熱材は不含有でした。アスベストが見つかったのは、室内の3つの建材でした
  • 同じ「タイル下地」でも結果が分かれました。浴室の壁は含有、浴室の床と廊下の床は含有なしです。建材の名前が同じでも、部位ごとに採取して分析しないと判断できません

調査担当者の現場メモ

配管の保温材には、エルボ(配管の曲がり部分)に使われている珪藻土系の保温材と、グラスウール系の保温材の2種類があります。珪藻土系かグラスウール系かで、含有の傾向はかなり変わります。ただ、配管の見た目からは、どちらなのかは判別できません。

グラスウール系はアスベストが入っていないと言われることが多いですが、正式に不含有と確認できているわけではありません。また、エルボ部分には、保温材の代わりに発泡スチロールが使われていることもあります。

含有が判明した建材の工事で気をつけること

  • 3建材ともレベル3の建材として扱います。フレキシブルボードとケイ酸カルシウム板第一種は成形板、タイル下地はセメント質の下地で、いずれもレベル3に区分されます。除去するときは切断などで破砕させず、湿潤化したうえで取り外します。電動工具を使う場合は、養生や集じん装置付きの工具などで飛散を防ぎます
  • 廃棄物は「石綿含有産業廃棄物」になります。一般の産業廃棄物と分けて処理します
  • 事前調査結果の報告が必要な場合があります。改修工事で請負代金の額が100万円以上の場合は、事前調査の結果の報告が必要です(石綿障害予防規則・大気汚染防止法)

レベル区分の詳しい説明は「アスベストのレベルとは?レベル1・2・3の違いを法改正のポイント含め専門家が解説」をご覧ください。

調査にかかった時間・費用

  • 所要時間:現地調査から、分析結果を含む調査報告書の提出まで8日(土日祝日を除くと6営業日)
  • 費用:調査範囲は2階のフロア全体で、14検体で合計291,500円(税込)。現在の通常料金です

費用は検体数や地域、納期によって変わります。詳しくは料金表をご覧ください。

天井裏の配管の保温材やダクトの断熱材も含めて、改修する範囲の建材をまとめて調査できます。民泊施設や住宅の改修工事に伴う事前調査も、アスベストバスターズにご相談ください。建築物石綿含有建材調査者が調査から報告書の作成まで対応します。

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ライター情報

アスベストバスターズ編集部は、アスベスト調査・除去に関する専門的知識を提供する編集チームです。
読者が直面するかもしれない問題に対処し、安全な作業環境を保証するための実用的なアドバイスと正確な情報を提供することを使命としています。アスベストバスターズ編集部は、アスベスト関連の最新情報を分かりやすく解説し、読者に信頼される情報源であり続けることを目指しています。

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