群馬県安中市の戸建て住宅|太陽光・蓄電池の設置工事に伴うアスベスト事前調査事例

太陽光パネルを屋根に載せる工事に、アスベストの事前調査が必要になることをご存じでしょうか。

パネルそのものにアスベストは使われていません。調査が必要になる理由は、パネルを固定するために既存の屋根材へアンカーを打つ点にあります。既存の建材に穴を開ける以上、その建材にアスベストが含まれていないかを工事の前に確かめなければなりません。

群馬県安中市の戸建て住宅で、太陽光発電と蓄電池を連携させるシステム(創蓄連携システム)の設置工事に伴い、アスベスト事前調査を実施しました。屋根・外壁・室内の3か所から検体を採取し、屋根の化粧スレートからクリソタイル(白石綿)が検出された事例です。

目次

調査の概要

所在地群馬県安中市
建物種別戸建て住宅
工事種別創蓄連携システム(太陽光発電+蓄電池)設置工事
調査日2026年5月3日
調査部位屋根/外壁/脱衣室の壁
調査方法書面調査・目視調査による一次スクリーニング+検体採取による分析
分析方法JIS A 1481-1(偏光顕微鏡法による定性分析)
分析実施日2026年5月7日~8日
調査実施者建築物石綿含有建材調査者(一般)
結果3検体のうち1検体(屋根材)から検出

パネルを載せるだけに見えても、穴を開けるなら調査の対象

アスベストの事前調査は、建築物の解体または改修の作業を行うときに、工事の規模や金額にかかわらず必要です(石綿障害予防規則 第3条)。「小規模だから」「設備を取り付けるだけだから」という理由で免除されることはありません。

規模によって変わるのは、調査した結果を行政へ報告する義務のほうです。

  • 解体工事:解体部分の床面積の合計が80㎡以上
  • 改修工事:請負代金の額が100万円以上(材料費・仮設工事費・消費税を含む)

この数値は石綿障害予防規則 第4条の2第1項と大気汚染防止法施行規則 第16条の11第1項で同一で、政省令により全国一律です。太陽光発電と蓄電池をあわせて導入する工事は請負代金が100万円を超えることも多く、その場合は調査結果の報告まで必要になります。

また、2023年10月以降に着工する工事の事前調査は、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行わなければなりません。本件も有資格者が現地調査と検体採取を担当しています。

調査結果|3検体のうち、屋根材からクリソタイルを検出

検体No.採取場所建材結果
1屋根(屋根材)屋根用化粧スレートクリソタイル(5%~50%)
2外壁(壁材)窯業系サイディング含有なし
3脱衣室 壁(壁材)石こうボード含有なし

分析は JIS A 1481-1(偏光顕微鏡法)による定性分析です。含有率は定性分析による推定値になります。

屋根材は2層に分けて分析している

検出された屋根材は、1枚の板として採取したうえで層ごとに分けて判定しています。

層割合材種外観色アスベスト
15%塗材黒色
295%スレート灰色クリソタイル(5%~50%)

検出されたのは表面の塗装ではなく、その下のスレート基材です。屋根は再塗装されていることが多く、表面だけを見て判断することはできません。

含有なしだった2検体も同じように層別に分析しています。外壁は「塗材/主材/吹付塗材/サイディング」の4層、脱衣室の壁は「クロス/紙質/石こう/紙質」の4層に分けて、それぞれ判定しました。

採取しなかった箇所もあります

本件では、階段下収納の壁は採取していません。仕上げが木質系で、アスベストを含有する建材ではないと現地の目視で判断できたためです。

事前調査は、すべての部位から検体を採って分析するものではありません。書面調査と目視調査で判断がつく箇所は分析を行わず、判断がつかない箇所を分析にかけます。どこを採り、どこを採らないかの判断そのものが、有資格者による調査の中身です。

調査担当者の現場メモ|スレート屋根はどこから採るか

化粧スレート(スレート屋根)は、戸建て住宅の屋根にもっとも多く使われている建材のひとつです。

当社がこれまでに化粧スレートを採取してきた現場では、そのほとんどで「含有あり」という結果が出ています。もちろん製造時期によっては含有しない製品もありますが、築年が分からない住宅の屋根材は、含有している前提で工事を計画しておくほうが現実的です。アスベストを含む建材の製造・使用が全面的に禁止されたのは2006年9月で、屋根材については2004年以前の製品が特に注意を要します。

採取にあたっては、安全面を最優先にしています。

  • 1階の屋根部分の端から採取する(高所での無理な移動を避けるため)
  • 下から見上げたときに雨樋などで隠れて見えない箇所を選ぶ(仕上がりに影響を残さないため)
  • ニッパーなどで端を少量だけ切り取る(分析に必要な量は1cm角程度)
採取前|1階の屋根の端、下から見上げて見えない位置を選び、養生を敷く
採取中|ニッパーで端を少量だけ切り取る。切断面は最小限にとどめる
採取後|部位と採取日を記載して封入する(建物名は個人情報のため加工しています)

検出された場合、工事はどうなるか

化粧スレートは成形板にあたるため、レベル3(飛散性がもっとも低い区分)の建材です。

レベル区分レベル3(成形板等)
必要な措置切断等以外の方法で除去(破砕させない)+湿潤化
廃棄物区分石綿含有産業廃棄物

レベル区分は建材の種類で決まり、工法によって変わりません。工法によって変わるのは、必要な飛散防止措置のほうです。なお、隔離と負圧除じん装置による負圧管理はレベル1・2の措置であり、レベル3では求められません。

本件のようにアンカーを打つために穿孔する場合は、湿潤化したうえで集じん装置付きの工具を使うなど、粉じんを飛散させない措置をとったうえで作業します。撤去した屋根材が出る場合の廃棄物区分は「石綿含有産業廃棄物」で、特別管理産業廃棄物(廃石綿等)にはあたりません。

調査の結果によって工事の段取り・工期・費用が変わります。だからこそ、工事日程を確定させる前に調査を済ませておくことが重要です。

この事例のポイント

  1. パネルを載せるだけに見える工事でも、既存建材にアンカーを打つなら事前調査の対象になる
  2. 化粧スレートは含有の可能性が高い建材。屋根は再塗装されていることが多く、表面の目視では判断できない
  3. 同じ建物でも部位によって結果が分かれる(本件は屋根が含有あり、外壁と室内は含有なし)。工事で触る部位ごとに調べる必要がある
  4. 採取は目立たない箇所から少量。仕上がりに影響を残さずに調査を終えられる

アスベストバスターズでは、建築物石綿含有建材調査者の資格を持つ調査員が全国で事前調査に対応しています。太陽光発電・蓄電池の設置、屋根の改修、アンテナや設備の取り付けなど、「これは調査が必要なのか」という段階からご相談いただけます。ご相談・お見積りは無料です。

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ライター情報

アスベストバスターズ編集部は、アスベスト調査・除去に関する専門的知識を提供する編集チームです。
読者が直面するかもしれない問題に対処し、安全な作業環境を保証するための実用的なアドバイスと正確な情報を提供することを使命としています。アスベストバスターズ編集部は、アスベスト関連の最新情報を分かりやすく解説し、読者に信頼される情報源であり続けることを目指しています。

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