この記事の要点
- 2026年1月1日より完全義務化:工作物の解体・改修工事におけるアスベスト事前調査は、有資格者による実施が必須となります。
- 対象は「特定工作物」だけではない:配管、ボイラー、煙突など、多岐にわたる設備が対象となり、建築物との区分けに注意が必要です。
- 違反時の厳しい罰則:無資格者による調査や虚偽報告には、懲役や罰金を含む直接罰が科される可能性があります。
- 計画的な資格取得が急務:「工作物石綿事前調査者」の資格取得には実務経験要件や講習受講が必要なため、早期の計画が求められます。
- G-Biz IDによる電子報告:一定規模以上の工事では、国が運営するシステムを通じた電子報告が義務付けられています。
結論から申し上げますと、2026年(令和8年)1月1日以降、工作物の解体・改修工事を行う際に「工作物石綿事前調査者」という有資格者による調査を行わせなかった場合、法令違反として厳しい罰則の対象となります。これまで建築物を中心に進められてきたアスベスト規制強化の波は、いよいよプラント設備やインフラ施設などの「工作物」へと及び、猶予期間は残りわずかとなりました。「自社の設備は対象なのか?」「誰に資格を取らせるべきか?」といった疑問や不安を抱える企業担当者様も多いことでしょう。本記事では、法令遵守を最優先に考える皆様に向け、工作物アスベスト事前調査制度の全容から、複雑な「工作物」の定義、資格取得の具体的なステップ、そして実務フローまでを網羅的に解説します。法的リスクを回避し、万全の体制で2026年を迎えるための決定版ガイドとしてご活用ください。
2026年1月完全義務化!工作物石綿事前調査制度の全体像
建設・設備業界において、長年の課題であったアスベスト(石綿)対策が新たなフェーズに入ります。2026年1月1日より、工作物の解体・改修工事を行う際のアスベスト事前調査について、所定の講習を修了した「有資格者」による実施が完全に義務化されます。
これまで、建築物(ビルや家屋など)に関しては、すでに2023年10月から有資格者による調査が義務付けられていました。しかし、煙突や配管、タンクといった「工作物」については、専門的な知識を持つ人材の育成期間を考慮し、猶予期間が設けられていました。その猶予がいよいよ終了し、建築物と同様に厳格なルールが適用されることになります。
この制度改正は、単に「資格を持った人が調査すればよい」という単純な話ではありません。調査結果の記録・保存、行政への報告、そして発注者への説明責任など、企業としてのコンプライアンス体制そのものが問われる大きな転換点です。特に、プラント設備やインフラ維持管理を行う企業にとっては、日常的なメンテナンス工事一つひとつが規制の対象となる可能性があり、業務フローへの影響は甚大です。
法改正の背景とスケジュール:なぜ今、工作物なのか
なぜ今、工作物に対する規制が強化されるのでしょうか。その背景には、過去の法規制の「隙間」と、依然として続く健康被害のリスクがあります。
かつてのアスベスト規制は、主に建築材料(吹付け材や成形板など)を対象としていました。しかし、工場やプラント内の配管保温材、ボイラーの断熱材、煙突のライニング材など、工作物にも高濃度のアスベストが使用されているケースが多々あります。これらの設備は老朽化が進んでおり、解体や改修の時期を迎えています。適切な調査なしに工事を行えば、作業員だけでなく周辺住民にもアスベストを飛散させる重大なリスクがあります。
主なスケジュールは以下の通りです:
- 2020年(令和2年)改正石綿障害予防規則等の公布:規制強化の方針が決定。
- 2022年(令和4年)4月1日:一定規模以上の工事について、事前調査結果の報告が義務化(資格要件は猶予)。
- 2023年(令和5年)10月1日:建築物の事前調査において、有資格者による実施が義務化。
- 2026年(令和8年)1月1日:工作物の事前調査において、「工作物石綿事前調査者」等による実施が完全義務化。
このように段階的に規制が強化されてきましたが、2026年の完全義務化は「最終段階」とも言えます。これ以降、無資格者による調査は一切認められなくなるため、企業はそれまでに必要な有資格者を確保しなければなりません。
違反時の罰則と企業が負う法的責任
コンプライアンス担当者が最も注視すべきは、違反時の罰則規定です。今回の法改正では、違反者に対する罰則が大幅に強化されており、「知らなかった」では済まされない厳しい内容となっています。
主な罰則規定(大気汚染防止法および石綿障害予防規則):
- 直接罰の適用:以前は行政指導に従わなかった場合に罰則が科される形式が主でしたが、改正後は、事前調査を行わなかったり、虚偽の報告を行ったりした時点で直ちに罰則(3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金など)が適用される可能性があります。
- 除去命令等の措置:不適切な調査や作業によりアスベストが飛散した場合、作業の一時停止や是正命令が出されます。これにより工期が大幅に遅延し、損害賠償問題に発展するリスクがあります。
また、法的責任だけでなく、社会的信用の失墜も重大なリスクです。アスベストの飛散事故や法令違反は、企業の安全管理能力に対する不信感を招き、今後の受注活動や企業ブランドに深刻なダメージを与えます。発注者としての責任も強化されており、施工業者に適切な費用や工期を配慮せずに工事を依頼した場合、発注者自身も配慮義務違反を問われる可能性があります。
誤解しやすい「工作物」の定義と「建築物」との違い

実務現場で最も混乱を招くのが、「どこまでが建築物で、どこからが工作物なのか?」という定義の問題です。この区分を誤ると、必要な資格者が異なったり、調査対象から漏れてしまったりする恐れがあります。
一般的に、「建築物」とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの(これに附属する門や塀を含む)を指します。一方、「工作物」は、建築物以外の構造物全般を指しますが、アスベスト調査の文脈では、特に「特定の設備」が焦点となります。
例えば、工場の建屋そのものは「建築物」ですが、その内部に設置された巨大な反応塔や、屋外に独立して立つ煙突は「工作物」として扱われます。しかし、建物に付随する電気設備や空調配管はどうでしょうか? この境界線は非常に曖昧であり、法令上の定義を正しく理解しておく必要があります。
法令上の「工作物」とは?特定工作物とそれ以外の区分
大気汚染防止法や石綿障害予防規則において、事前調査の対象となる工作物は広範囲に及びますが、特に注意が必要なのが「特定工作物」です。
特定工作物(環境省告示等で指定されたもの):
これらは、過去にアスベストが使用されていた可能性が高い、または使用されていた場合に飛散リスクが高い工作物を指します。具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 反応槽、加熱炉、ボイラー、圧力容器
- 配管設備(建築物に設けるものを除く)
- 焼却設備、煙突(建築物に設けるものを除く)
- 貯蔵設備(タンク、サイロなど)
- 発電設備(変電設備を含む)
- トンネルの天井板、遮音壁
ここで重要なのは、「建築物に設けるものを除く」という但し書きです。これは、建築物の一部として機能する設備(例:ビル内の空調ダクトや給排水管)は「建築物」の一部とみなされ、建築物の調査資格が必要になる場合があることを示唆しています。一方で、生産ラインの配管や独立したプラント設備は明確に「工作物」となります。
また、特定工作物以外の工作物(例:塗装された鉄塔、地下ピットなど)であっても、解体・改修時にはアスベスト使用の有無を確認する事前調査自体は原則として必要です。ただし、資格者による調査義務の対象がどこまで及ぶかは、法令の細則や自治体の運用を確認する必要があります。
建築物と工作物の境界線:判断に迷うケースと具体例
現場判断で迷いやすい「グレーゾーン」について、具体的なケースを見ていきましょう。判断を誤ると、無資格調査(法令違反)になるリスクがあります。
| 対象物 | 区分(原則) | 解説 |
|---|---|---|
| ビルの屋上の煙突 | 建築物の一部 (または工作物) | 建物と一体化している場合は建築物扱いとなることが多いですが、独立性が高い場合は工作物とされることもあります。構造上の独立性が判断基準となります。 |
| 工場の生産ライン配管 | 工作物 | 建築設備(空調・給排水など)ではなく、生産設備としての配管は工作物に該当します。 |
| 一般住宅のボイラー | 建築設備 | 家庭用ボイラー等は通常、建築設備として扱われますが、大規模な産業用ボイラーは工作物(特定工作物)となります。 |
| 太陽光発電パネル | 工作物 | 架台を含め工作物として扱われます。パワーコンディショナー等の電気設備にアスベストが含まれる可能性があります。 |
このように、用途や設置状況によって区分が変わる場合があります。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署や自治体の環境課へ事前に相談することをお勧めします。また、安全策として「建築物」と「工作物」両方の調査資格を持つ担当者を配置するか、両方の資格を持つ外部業者に委託するのが最も確実なリスクヘッジとなります。
アスベスト含有リスクが高い代表的な工作物リスト
工作物のアスベスト調査において、特に注意深く確認すべき「高リスク箇所」をリストアップしました。これらは過去にアスベスト含有建材が多用されていた代表的な設備です。
- 配管・ダクトの保温材・断熱材:
エルボ(曲がり角)やフランジ部分、バルブ周りの保温材には、石綿含有保温材や石綿含有けいそう土保温材が使用されている可能性が高いです。 - ボイラー・焼却炉の内部材:
本体の断熱材、パッキン、ガスケット、耐火レンガの目地などに高濃度のアスベストが含まれていることがあります。 - 煙突のライニング材:
煙突内部の断熱材(カポスタックなど)や、石綿セメント円筒が使用されているケースがあります。 - 変電・配電設備:
配電盤の遮断器や隔壁板、ケーブルの被覆材などに石綿含有成形板が使われていることがあります。 - 化学プラントの反応槽・タンク:
耐酸性や耐熱性が求められる箇所に、特殊なアスベスト含有材が使用されている場合があります。
これらの設備を解体・改修する際は、図面調査だけでなく、慎重な現地調査とサンプリング分析が不可欠です。
必須資格「工作物石綿事前調査者」の取得完全ガイド

2026年以降、工作物の事前調査を行うために必須となるのが「工作物石綿事前調査者」の資格です。この資格は、厚生労働大臣が定める登録講習機関での講習を受講し、修了考査に合格することで取得できます。
企業としては、社内で誰にこの資格を取得させるか、あるいは有資格者をどう確保するかが喫緊の課題です。ここでは、資格の概要と取得方法について詳しく解説します。
資格が必要になるケースと「建築物石綿含有建材調査者」との関係
まず整理しておきたいのが、既存の「建築物石綿含有建材調査者」との関係です。名称が似ていますが、調査できる対象範囲が異なります。
- 一般建築物石綿含有建材調査者:全ての建築物の調査が可能。
- 特定建築物石綿含有建材調査者:全ての建築物の調査が可能(実務経験重視の上位資格)。
- 一戸建て等石綿含有建材調査者:一戸建て住宅や共同住宅の住戸内部に限られる。
- 工作物石綿事前調査者:工作物(特定工作物を含む)の調査が可能。
重要なポイントは、「建築物の調査資格だけでは、工作物の調査はできない(原則)」という点です。ただし、経過措置や一部の例外として、建築物の調査者が追加の講習を受けることで工作物の調査が可能になるケースや、逆に工作物の資格者が建築物の一部を見ることができるケースなど、制度は複雑です。
しかし、2026年の完全義務化に向けて最もシンプルかつ確実なのは、工作物を扱う可能性がある技術者には「工作物石綿事前調査者」の資格を取得させることです。特にプラントエンジニアリングや設備工事を行う企業では、この資格が必須のパスポートとなります。
受験資格・実務経験要件のチェックリスト
「工作物石綿事前調査者」の講習を受講するには、一定の受講資格(実務経験など)が必要です。誰でも受けられるわけではないため、事前の確認が重要です。主な要件は以下の通りです(いずれか一つに該当すれば受講可能)。
- 実務経験による要件:
- 工作物の建設、改修、解体等の実務経験が11年以上ある者。
- 特定化学物質等作業主任者としての実務経験等の要件を満たす者。
- 学歴+実務経験による要件:
- 大学(工学系)卒+工作物に関する実務経験2年以上
- 短大(3年制工学系)卒+実務3年以上、その他短大・高専工学系+実務4年以上
- 高校等の工学系卒+実務7年以上
- その他の資格保有者:
- 石綿作業主任者の技能講習修了者。
- 産業安全専門官・労働衛生専門官、労働基準監督官、作業環境測定士など。
このように、基本的には現場経験や技術的なバックグラウンドを持つ人材が対象となります。若手社員に取得させる場合は、学歴要件と実務経験年数を満たしているか、人事データと照らし合わせて確認する必要があります。
講習カリキュラムの内容と修了考査の難易度
講習は通常、2日間(計11時間程度)で行われます。カリキュラムは、工作物に特化した専門的な内容となっています。
- 基礎知識:アスベストの性質、健康影響、関係法令(大気汚染防止法、石綿則など)。
- 工作物の構造と調査方法:工作物の種類や構造、アスベストの使用実態、図面調査の方法。
- 現地調査の実際:目視調査のポイント、サンプリング(試料採取)の方法、安全対策。
- 報告書の作成:調査結果のまとめ方、報告書の記載事項。
講習の最後には修了考査(筆記試験)が行われます。合格基準は一般的に60%以上の正答率とされています。建築物の調査者講習と同様、講習内容をしっかりと聴講していれば合格できるレベルですが、専門用語が多く、法令の細かい数字なども出題されるため、決して「落ちない試験」ではありません。真剣に取り組む必要があります。
講習機関の選び方:費用・日程・オンライン受講の比較ポイント
資格取得のための講習は、都道府県労働局に登録された「登録講習機関」で受講します。建設業労働災害防止協会(建災防)や民間の教育機関など、多数の機関が実施しています。
講習機関を選ぶ際の比較ポイント:
- 受講形態(対面 vs オンライン):
最近では、講義部分をオンライン(eラーニングやZoom等)で受講し、修了考査のみ会場で受ける形式が増えています。業務で忙しい担当者には、移動時間が削減できるオンライン受講が推奨されます。 - 費用:
受講料は機関によって異なりますが、概ね4〜5万円程度(テキスト代含む)が相場です。助成金が活用できる場合もあるので確認しましょう。 - 日程と会場:
開催頻度は機関によってまちまちです。特に義務化直前の2025年後半は申し込みが殺到し、予約が取れなくなることが予想されます。余裕を持って日程を確保できる機関を選びましょう。
実務担当者向け:工作物アスベスト事前調査の実施フロー

資格を取得した後、実際に現場でどのように調査を進めるべきか、実務フローの概要を解説します。法令に基づいた適切な手順を踏むことが、コンプライアンス遵守の鍵となります。
ステップ1:書面調査と現地調査の準備
調査は現場に行く前から始まっています。まずは書面調査(図面調査)です。対象となる工作物の設計図書、竣工図、過去の改修履歴、設備台帳などを収集し、アスベストが使用されている可能性のある箇所(使用材料、施工年、メーカー情報など)を洗い出します。
この段階で、「いつ設置されたか(2006年の全面禁止以前か)」、「どのような部材が使われているか」を把握し、現地調査の計画を立てます。アスベストの使用が不明な箇所は、全て「みなし(含有しているものとして扱う)」とするか、分析調査を行うかの判断材料となります。
ステップ2:目視調査と試料採取(サンプリング)の要点
次に、現地での目視調査を行います。書面情報と現物の整合性を確認し、劣化状態や飛散のリスクをチェックします。工作物の場合、高所や狭所、高温部など危険な場所にあることが多いため、安全確保が最優先です。
アスベスト含有の有無が目視や書面で明らかでない場合、試料採取(サンプリング)を行います。
サンプリングの要点:
- 代表性の確保:同一材料と思われる範囲から、偏りなく採取する。
- 飛散防止:採取時は湿潤化(水で濡らす)し、粉じんが飛散しないよう措置を講じる。
- 安全装備:調査者は呼吸用保護具(マスク)や保護衣を着用する。
ステップ3:分析調査と判定基準
採取した試料は、専門の分析機関に送付し、JIS A 1481規格等に基づいた分析を行います。分析には「定性分析」(アスベストが含まれているか)と「定量分析」(どのくらい含まれているか)があります。
判定基準:
アスベストの含有率が0.1%重量超の場合、「アスベスト含有あり」と判定されます。この結果に基づき、後の解体・改修工事におけるアスベスト飛散防止対策(作業レベルの決定など)が計画されます。
ステップ4:調査報告書の作成とG-Biz IDによる電子申請手順
調査が完了したら、調査報告書を作成します。報告書には、調査対象、調査方法、結果、判断の根拠などを詳細に記載し、3年間保存する必要があります。
さらに、一定規模以上の工事(請負金額100万円以上など)の場合、労働基準監督署および自治体への報告が義務付けられています。この報告は、原則として「石綿事前調査結果報告システム」を通じた電子申請で行います。
電子申請のポイント:
- 利用には「G-Biz ID」(gBizIDプライムまたはエントリー)のアカウントが必要です。オンラインであれば即日発行も可能ですが、書類郵送申請の場合、取得に数週間かかることもあるため早めに準備しておきましょう。
- システム上で現場情報や調査結果を入力し、一度の操作で労基署と自治体の両方へ報告が完了します。
企業が直面する課題とコンプライアンス体制の構築

制度対応にあたり、経営層や管理職が直面するのは「リソース」と「リスク」のバランスという課題です。
自社養成か外部委託か?コストとリスクの比較シミュレーション
調査を自社で行うか、外部の専門業者に委託するかは重要な経営判断です。
| 項目 | 自社養成(内製化) | 外部委託 |
|---|---|---|
| コスト | 初期:講習費・測定機器購入費 継続:人件費、教育費 (頻度が高い場合は割安) | 都度の調査委託費 (頻度が低い場合は割安) |
| メリット | 社内ノウハウの蓄積、迅速な対応、コスト削減(長期的) | 専門家による高品質な調査、法的責任の一部転嫁(契約による)、社内リソースの節約 |
| デメリット・リスク | 調査ミスによる法令違反リスクを直接負う、人材流出リスク | コスト高、業者の手配に時間がかかる場合がある、業者選定の責任 |
日常的な小規模メンテナンスが多い工場などでは、自社スタッフに資格を取らせて内製化する方が効率的かもしれません。一方、大規模なプラント解体など特殊なケースでは、専門業者への委託が安全です。両者を組み合わせたハイブリッドな体制が現実的な解となるでしょう。
調査結果の記録・保存義務(3年間)と情報公開
調査結果は、工事が終わったら捨てて良いものではありません。法令により、調査結果の記録および関連書類は3年間保存することが義務付けられています。これには、調査報告書だけでなく、作業記録や廃棄物のマニフェストなども含まれます。
また、工事現場には、調査結果の概要(アスベストの有無、調査者名など)を記載した掲示板を、公衆が見やすい場所に設置する義務(情報公開)もあります。透明性を確保し、近隣住民や作業員の不安を解消することが求められています。
工作物のアスベスト調査に関するよくある質問 (FAQ)

Q1. 2026年1月1日より前に契約した工事でも、施工が1月以降なら有資格者の調査が必要ですか?
A1. はい、原則として着工日(調査実施日)が基準となります。2026年1月1日以降に事前調査を行う場合は、有資格者による実施が必須となります。施行日をまたぐ工事については、所轄の労働基準監督署へ個別にご確認いただくことを推奨します。
Q2. 社内に「一般建築物石綿含有建材調査者」がいますが、工作物の調査も任せて良いですか?
A2. 原則としてできません。「工作物」の調査には「工作物石綿事前調査者」の資格が必要です。ただし、建築物と一体となっている設備など、判断が難しいケースもありますので、工作物の資格も併せて取得させるのが最も確実です。
Q3. 海外製の設備で図面が英語の場合や、図面がない古い設備はどうすれば良いですか?
A3. 図面がない、または情報が読み取れない場合は、アスベストが使用されているものとみなして(みなし判定)対策を行うか、分析調査を行って含有の有無を確定させる必要があります。不明なまま「なし」と判断することはできません。
Q4. 資格取得のための実務経験年数が足りない場合はどうすれば良いですか?
A4. 実務経験要件を満たす社員がいない場合は、外部の専門調査機関に委託する必要があります。並行して、将来的な内製化に向けて若手社員の経験を積ませる計画を立てることをお勧めします。
まとめ:2026年に向けた計画的な資格取得と体制整備を

2026年1月の「工作物石綿事前調査」完全義務化まで、残された時間は多くありません。直前になって慌てて対応しようとすると、講習の予約が取れなかったり、調査業者が手配できなかったりと、工事の遅延や法令違反のリスクが高まります。
企業担当者の皆様におかれましては、まずは自社が管理・施工する設備が「工作物」に該当するかを確認し、必要な有資格者の人数を割り出してください。そして、計画的な資格取得の推進や、信頼できる外部パートナーの選定を今すぐ始めることを強くお勧めします。適切なコンプライアンス体制の構築は、企業の信頼を守り、働く人々の安全を守るための投資です。





