この記事の要点
- 原則義務化:解体・改修工事におけるアスベスト事前調査は、規模の大小に関わらず原則として必須です。
- 3つの除外条件:「2006年9月1日以降の着工」「特定建材のみの構造」「極めて軽微な損傷」のいずれかに該当すれば調査は不要です。
- 軽微な作業の判断:エアコン設置や釘打ちなど、建材への損傷がごく一部に留まる作業は対象外となる可能性がありますが、判断には専門的な知識が必要です。
- 2026年法改正:2026年1月より「工作物」の事前調査も有資格者による実施が義務化され、規制がさらに強化されます。
- 記録の保存:調査不要と判断した場合でも、その根拠となる記録の作成と保存(3年間)は法的義務です。
建設・解体業界において、石綿(アスベスト)障害予防規則および大気汚染防止法の改正に伴う規制強化は、現場管理における最重要課題の一つとなっています。かつては一定規模以上の工事に限定されていた規制も、現在では原則として全ての解体・改修工事において事前調査が義務付けられており、その遵守は発注者および元請業者の重大な責務です。しかし、現場では「この程度の小規模な補修でも調査が必要なのか?」「2006年以降の建物であれば無条件で不要なのか?」といった判断に迷うケースが後を絶ちません。本記事では、施工管理の実務担当者が直面するこれらの疑問に対し、法的根拠に基づいた正確な「対象・対象外」の線引きと、2026年に完全施行される工作物調査の義務化を含めた最新のコンプライアンス実務を徹底解説します。
アスベスト事前調査の義務化とは?対象となる工事と法的根拠

建築物や工作物の解体・改修工事を行う際、その建材に石綿(アスベスト)が含まれているかどうかをあらかじめ確認する「アスベスト事前調査」は、現在、法律によって厳格に義務付けられています。この義務化の背景には、過去に建設現場で多く使用されたアスベストが、解体作業時に飛散し、作業員や近隣住民が吸入することで中皮腫や肺がんなどの深刻な健康被害を引き起こすリスクがあるためです。
かつては規制が緩やかな部分もありましたが、度重なる法改正により、現在では「原則として全ての工事」が調査の対象となっています。これは、大規模なビル解体だけでなく、個人住宅のリフォームや、配管設備の交換、さらには外壁の塗装工事に伴う下地補修といった小規模な工事であっても、基本的には調査が必要であることを意味します。
現場監督や施工管理者がまず理解すべきは、「調査が必要な工事」と「調査結果の報告が必要な工事」はイコールではないという点です。行政への報告(届出)が必要なのは一定規模以上の工事に限られますが、事前調査そのものと、その結果の現場掲示・記録保存は、規模に関わらずほぼ全ての工事で求められます。この認識のズレが、現場での法令違反を招く最大の要因となっています。
大気汚染防止法・石綿障害予防規則に基づく調査義務の全体像
アスベスト事前調査の義務は、主に「大気汚染防止法(大防法)」と「石綿障害予防規則(石綿則)」という2つの法令に基づいています。大防法は主に工場や事業場からの排出規制や、建築物の解体等に伴う粉じんの飛散防止を目的としており、環境省が管轄しています。一方、石綿則は労働安全衛生法に基づく規則で、作業員の健康障害防止を主眼としており、厚生労働省が管轄しています。
実務上は、これら両方の法律が同時に適用されます。2021年(令和3年)4月の法改正により、事前調査の方法や記録の保存、発注者の配慮義務などが明確化されました。さらに、2023年(令和5年)10月からは、建築物の事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者が行うことが義務化されました。つまり、単に「調査すればよい」のではなく、「誰が」「どのように」調査したかが法的に問われる時代に突入しています。
解体・改修工事における「事前調査」の原則と例外
法的な原則として、建築物等の解体または改修(リフォーム、修繕、模様替え、設備工事などを含む)を行う場合、受注者(元請業者)は工事着手前にアスベストの使用有無を調査しなければなりません。ここで言う「改修」の定義は非常に広く、壁紙の張り替えや、外壁に看板を設置するための穴あけ作業なども含まれます。
しかし、あらゆる作業で厳密な分析調査を求めることは現実的ではないため、法令では明確な「例外(調査不要な条件)」が設けられています。現場管理において最も重要なのは、この「例外」を正しく理解し、自身の現場がそれに該当するかどうかを論理的に判断することです。次章では、この調査不要となる具体的な条件について詳述します。
【判断フロー】アスベスト調査が「対象外(不要)」となる3つの条件

現場で工事を行う際、すべての案件で専門機関による分析調査を行っていては、工期もコストも圧迫されます。法令では、明らかにアスベスト使用のリスクがない、あるいは飛散のリスクが極めて低いケースについて、事前調査を不要とする規定を設けています。具体的には、以下の3つの条件のいずれかに該当する場合、事前調査は不要と判断できます。
- 着工日が2006年(平成18年)9月1日以降であること
- 調査対象部分が木材、金属、石、ガラス等のみで構成されていること
- 除去等を伴わない「極めて軽微な損傷」しか与えない作業であること
これらは「かつ(AND)」条件ではなく「または(OR)」条件です。いずれか一つでも確実に満たしていれば調査は不要ですが、その判断根拠は必ず記録に残す必要があります。それぞれの条件について、実務的な注意点を掘り下げて解説します。
条件1:2006年(平成18年)9月1日以降に着工した建築物・工作物
最も明確な判断基準となるのが「着工日」です。日本では、労働安全衛生法施行令の改正により、2006年(平成18年)9月1日から、アスベスト含有量が重量の0.1%を超える製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が全面的に禁止されました。
したがって、2006年9月1日以降に着工(工事を開始)された建築物や工作物には、法的にアスベストが使用されている可能性がないため、事前調査は不要となります。ここで注意が必要なのは、基準となるのが「竣工日(完成日)」ではなく「着工日」である点です。例えば、2006年10月に完成した建物であっても、着工が2006年8月であれば、禁止前に製造された建材が使用されている可能性があるため、調査対象となります。
実務では、確認済証や検査済証、あるいは建設リサイクル法の届出書などで正確な着工日を確認します。もし着工日が不明確な場合は、安全側に倒して「調査対象」として扱うか、設計図書等で2006年9月以降の仕様であることを証明する必要があります。
条件2:木材・金属・石・ガラス等のみで構成されているもの
工事の対象となる部分が、アスベストが含まれる可能性のない材料「のみ」で構成されている場合も、調査は不要です。具体的には以下の素材が該当します。
- 木材(無垢材、合板など)
- 金属(鉄骨、アルミサッシ、トタンなど)
- 石(天然石など)
- ガラス
- 畳
- 電球
ここで重要なのは「のみ」という条件です。例えば、金属製の屋根であっても、その裏打ち材に断熱材(フェルトなど)が貼られている場合や、ボルトのパッキン、シーリング材などが使用されている場合は、それらにアスベストが含まれている可能性があるため、調査が必要になります。「見た目が金属だから大丈夫」という安易な判断は禁物です。塗装や接着剤、目地材などの副資材まで含めて、アスベストが含まれていないことが明らかである必要があります。
条件3:除去等を伴わない「極めて軽微な損傷」しか与えない作業
3つ目の条件は、作業内容に関するものです。既存の建材を除去したり、大きく破壊したりせず、建材に与える損傷が「極めて軽微」である場合は、アスベスト飛散のリスクが無視できるほど小さいため、調査は不要とされています。
この「軽微な損傷」の解釈こそが、現場で最も判断に迷うポイントです。環境省の告示では具体的な作業例が示されていますが、基本的には「材料を切断・破砕・穿孔(ドリル等で穴あけ)しない」あるいは「穿孔してもごく小規模である」作業が該当します。例えば、既存の壁に画鋲を刺す程度であれば問題ありませんが、電動工具を使って配管を通す穴を開ける場合は、その穴の大きさや建材の種類によって判断が分かれます。この「軽微な作業」の具体的な範囲については、次章で詳細に解説します。
現場判断に迷う「軽微な作業」の具体的範囲と事例

「軽微な作業」に該当するか否かの判断は、施工管理者にとって非常に悩ましい問題です。誤って「軽微」と判断し、実際にはアスベストを含む建材を飛散させてしまえば、法令違反となるだけでなく、作業員の健康を危険に晒すことになります。ここでは、環境省の告示やガイドラインに基づき、現場で頻繁に行われる作業が調査対象となるか否かを具体的に掘り下げます。
環境省告示による「軽微な作業」の定義と解釈
環境省告示(令和2年環境省告示第77号)において、事前調査を行う必要がない「極めて軽微な損傷しか与えない作業」として、以下の項目が定義されています。
- 釘、ねじ、画鋲等の固定用具を用いて行う固定または取り外し(電動工具を用いるものを含む)
- 既存の釘、ねじ等の穴を利用して行う固定用具による固定
- 接着剤、両面テープ等による固定または取り外し
- 配管、配線等の支持金具の設置または取り外し(アンカーボルト等の設置を含む)
- 成形板等の建材に穴を開けずに切断・除去する作業(例:シーリング材の撤去など、建材そのものを傷つけない場合)
これらはあくまで「建材そのものを除去・解体する作業ではない」ことが前提です。例えば、壁全体を取り壊す工事の中で釘を抜く作業は「解体工事の一部」とみなされるため、当然ながら調査が必要です。ここでの「軽微な作業」とは、メンテナンスや小規模な取り付け工事において、建材への干渉が局所的であるケースを指します。
調査不要となる作業の具体例(釘打ち、アンカーボルト、エアコン設置)
現場でよくある作業について、調査の要否(軽微な作業に該当するか)を以下の表にまとめました。ただし、これらは一般的な解釈であり、建材の状態(著しく劣化している場合など)によっては飛散リスクが高まるため注意が必要です。
| 作業内容 | 調査の要否(原則) | 判断のポイント・注意点 |
|---|---|---|
| 釘打ち・ビス止め | 不要 | カレンダーや額縁を掛けるための釘打ち、ボードへのビス止め等は、建材への損傷が極めて小さいため対象外。 |
| アンカーボルトの設置 | 不要 | 照明器具や棚を固定するためのアンカー打設は、穿孔径が比較的小さいため「軽微」とみなされることが多い。ただし、多数の穴を開ける場合は注意。 |
| エアコン設置(スリーブ有) | 不要 | 既に開いている配管用の穴(スリーブ)を利用して設置する場合は、建材を傷つけないため不要。 |
| エアコン設置(新規穴あけ) | 必要(要注意) | 壁に新たに配管用の穴(コア抜き等)を開ける場合、壁材(石膏ボード、サイディング等)を切断・粉砕するため、原則として調査が必要。 |
| コンセント増設(開口) | 必要 | 石膏ボード等を四角く切り抜いて開口する場合、切断作業を伴うため調査が必要。 |
| カーテンレールの交換 | 不要 | 既存のビス穴を利用、または新たなビス止め程度であれば不要。 |
| インターホンの交換 | 不要 | 既存配線を利用し、機器のみを交換する場合は不要。 |
注意!「軽微」に含まれないグレーゾーンと誤判断リスク
最も注意すべきは、「少しの穴あけなら大丈夫だろう」という自己判断です。例えば、エアコン設置に伴う壁の穴あけ(コア抜き)は、直径60mm〜100mm程度の穴を開ける作業であり、これは建材を「粉砕」する行為に他なりません。壁材にアスベストが含まれていれば、確実に粉じんが飛散します。したがって、エアコン設置のための新規穴あけは「軽微な作業」には含まれず、事前調査の対象となります。
また、リフォーム現場でよくある「ダウンライトの設置」も同様です。天井材に円形の穴を開ける作業は、切断・穿孔に該当するため調査が必要です。 「軽微な作業」の例外規定は、あくまで「釘やビス程度の極めて小さな損傷」に限定されていると理解し、ドリルやノコギリで建材を加工・切断する場合は、基本的に調査が必要であると認識しておくのが安全です。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署や自治体の窓口、または有資格者に相談することを強く推奨します。
2026年1月完全施行!「工作物」の調査対象拡大と有資格者による調査義務

アスベスト規制は段階的に強化されており、次の大きな転換点は2026年(令和8年)1月です。これまで建築物に比べて規制が緩やかだった「工作物」に関しても、有資格者による事前調査が完全義務化されます。これにより、プラント設備やインフラ設備の改修・解体工事におけるコンプライアンス要件が一段と厳しくなります。
調査対象となる工作物の種類(配管設備、煙突、貯蔵設備など)
ここで言う「工作物」とは、建築物以外の構造物を指します。具体的には、以下の特定工作物が事前調査の対象として明示されています。
- 反応槽、加熱炉、ボイラー、圧力容器
- 配管設備(プラント配管、建築設備の配管など)
- 焼却設備、煙突(家庭用を除く)
- 貯蔵設備(タンク、サイロなど)
- 発電設備、変電設備、配電設備
- トンネルの天井板、壁面
- 遮音壁、軽量盛土保護パネル
特に注意が必要なのは「配管設備」です。配管のフランジパッキンや保温材には、高濃度のアスベストが使用されているケースが多くあります。これまでは専門知識のない作業員が解体してしまうケースもありましたが、今後はこれらの工作物を解体・改修する際にも、厳格な事前調査が求められます。
工作物石綿事前調査者の資格要件と経過措置の終了
2026年1月1日以降、工作物の解体・改修工事を行う際の事前調査は、「工作物石綿事前調査者」またはこれと同等以上の能力を有すると認められる者(特定建築物石綿含有建材調査者など)が行わなければなりません。
現在は経過措置期間として、有資格者以外でも十分な知識と経験があれば調査が可能とされていますが、2026年1月をもってこの経過措置は終了します。したがって、工作物のメンテナンスや解体を請け負う業者は、社内で資格取得者を育成するか、外部の有資格者に調査を委託する体制を早急に整える必要があります。資格取得には講習の受講と修了考査の合格が必要であり、直前になると講習予約が殺到することが予想されるため、計画的な取得が推奨されます。
事前調査不要かどうかの確認方法と記録の重要性

「調査不要」と判断した場合でも、そのプロセスは客観的かつ証拠に残る形で行わなければなりません。「なんとなく古くないから大丈夫」といった感覚的な判断は、後々大きなトラブルの元となります。
設計図書・竣工図による着工日の確認手順
前述の通り、2006年9月1日以降の着工であれば調査は不要です。この確認には、以下の公的書類や図書を用います。
- 確認済証・検査済証:建築確認申請の際に発行される書類で、日付が最も確実な証拠となります。
- 設計図書・竣工図:図面の作成日や特記仕様書に記載された日付を確認します。
- 登記簿謄本(全部事項証明書):建物の「新築日」が記載されていますが、これは登記された日であり着工日ではないため、あくまで参考情報として扱います。新築日が2007年以降であれば、着工も2006年9月以降である可能性が高いと推測できますが、確実性を期すなら他の書類と併用します。
- 建設リサイクル法の届出書:解体工事等の際に提出された過去の書類があれば、そこから情報を得られる場合があります。
これらの書類が存在しない、あるいは日付が微妙な場合(例:2006年夏頃)は、リスク回避のために「調査対象」として扱うのが賢明です。
調査不要と判断した場合でも「記録」の作成・保存は必須
ここが見落とされがちな重要ポイントです。法令上、事前調査の結果(調査不要と判断した場合を含む)は、書面等の記録を作成し、3年間保存する義務があります。
つまり、「2008年着工の建物だから調査不要」と判断した場合でも、「確認した書類名(確認済証など)」「確認した年月日」「判断の根拠(2006年9月1日以降着工のため)」などを記載した記録簿を作成し、会社に保管しておかなければなりません。労働基準監督署の立入検査等があった際、この記録がなければ「調査義務違反」を問われる可能性があります。調査不要=何もしなくて良い、ではないことを肝に銘じてください。
調査結果の報告義務と「石綿事前調査結果報告システム」

事前調査を行った結果、一定規模以上の工事については、労働基準監督署および自治体(都道府県等)への報告が義務付けられています。この報告は、原則として国の電子システムを通じて行います。
報告が必要な工事の規模要件(解体80㎡以上・請負金額100万円以上)
全ての工事で報告が必要なわけではありません。以下の要件に該当する場合に報告義務が発生します。
- 建築物の解体工事:解体作業を行う部分の床面積の合計が80㎡以上
- 建築物の改修工事:請負代金の合計額が100万円以上(税込)
- 工作物の解体・改修工事:請負代金の合計額が100万円以上(税込)
ここで言う「請負代金」には、材料費だけでなく、仮設工事費や廃棄物処理費なども含めた工事全体の金額(消費税込み)を指します。また、工区を分けて発注した場合でも、実質的に一連の工事とみなされる場合は合算して判断されます。100万円未満の小規模工事であれば報告は不要ですが、前述の通り「事前調査」と「記録の保存」は必須です。
GビズIDの取得と電子システムによる報告フロー
報告は、厚生労働省と環境省が運用する「石綿事前調査結果報告システム」を使用してオンラインで行います。紙の書類での提出も一部認められていますが、基本的には電子申請が原則です。
システムを利用するには、デジタル庁が発行する共通認証システム「GビズID」のアカウント取得が必要です。アカウント発行には数週間かかる場合があるため、未取得の事業者は早めの手続きが必要です。報告は、元請業者が行いますが、入力作業自体は調査を行った有資格者や担当者が行い、最終的に事業者が承認して送信するフローが一般的です。スマートフォンやタブレットからもアクセス可能で、現場の写真などを添付して報告します。
違反時の罰則と発注者・元請業者が負う責任

アスベスト関連法令の違反には、厳しい罰則が設けられています。これは、アスベスト被害が人の命に関わる重大な問題だからです。知らなかったでは済まされない、重い責任について解説します。
事前調査の未実施・虚偽報告に対する直接罰
2021年の法改正により、事前調査を行わなかった場合や、虚偽の報告を行った場合に対する「直接罰」が創設されました。
- 事前調査結果の報告をせず、または虚偽の報告をした場合:30万円以下の罰金
- 石綿含有建材の除去等において、隔離等の措置を講じなかった場合:3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
これらは行政指導(是正勧告)を挟まずに、即座に罰則が適用される可能性があります。また、刑事罰だけでなく、指名停止処分や建設業許可への影響、さらには企業名の公表による社会的信用の失墜など、経営に与えるダメージは計り知れません。
発注者の配慮義務と費用負担に関する法的ルール
責任は元請業者だけでなく、工事の発注者(施主)にも及びます。法令では、発注者に対し以下の配慮義務を定めています。
- 事前調査や除去作業にかかる適正な費用と工期を負担すること。
- 事前調査に協力すること(図面の提供や現地調査への立ち会いなど)。
- 調査結果に基づく適正な施工を妨げないこと。
元請業者は、事前調査の結果を書面で発注者に説明する義務があります。もし発注者が「費用がかかるから調査しなくていい」「工期がないからすぐに着工しろ」といった無理な要求をし、その結果法令違反が起きた場合、発注者も責任を問われる可能性があります。施工管理者は、プロとして発注者に対し、法令遵守の重要性と必要なコストについて毅然と説明し、理解を得る必要があります。
アスベスト調査の対象に関するよくある質問(FAQ)

Q. 2006年以前の建物ですが、リフォーム箇所は数年前に改装済みです。調査は必要ですか?
A. 原則として調査が必要です。過去のリフォーム時期が2006年9月以降であることが確実で、かつそのリフォームで施工された建材のみを触る場合は不要となる可能性がありますが、下地材などに当時の古い建材が残っているケースが多々あります。リフォーム履歴や図面を精査し、少しでも不明な点があれば調査を行うべきです。
Q. DIYで自宅をリフォームする場合も調査義務はありますか?
A. 原則あります。建築物等の解体・改造・補修を伴う工事は、元請業者だけでなく自主施工者(所有者が自分で施工するDIYを含む)も、石綿含有建材の有無を事前に調査する必要があります。一定規模以上の工事は調査結果の報告も必要です。小規模でも事前調査自体は必要です。資格要件もあるため、DIYでも有資格者(調査者)への依頼を検討してください。廃材は自治体の分別・搬入ルールに従い、石綿の可能性がある場合は通常のごみとして出さず、適正処理してください。
Q. 畳やカーペットの交換だけでも調査は必要ですか?
A. 畳やカーペットそのものは「木材・金属・石・ガラス等」には含まれませんが、通常アスベストが含まれる可能性は低いです。ただし、それらを固定している接着剤や、剥がした際に見える下地材(コンパネやモルタル等)にアスベストが含まれている可能性があります。単に上に敷くだけなら不要ですが、剥がして下地を補修する場合などは調査対象となることがあります。
Q. 調査費用は誰が負担すべきですか?
A. 原則として発注者(施主)が負担します。事前調査費用は工事価格に含まれるべき経費です。見積もりの段階で「アスベスト事前調査費」として項目を明示し、発注者に説明して合意を得ることが重要です。
まとめ:正しい対象判断で法令遵守と安全な現場管理を

アスベスト事前調査は、建設工事における「安全」と「信頼」の土台です。「2006年9月1日以降の着工」「特定建材のみ」「極めて軽微な損傷」という3つの除外条件を正しく理解し、自身の現場が対象となるかを論理的に判断することが求められます。また、2026年からの工作物調査の厳格化や、調査不要時の記録保存義務など、実務上の落とし穴は数多く存在します。
判断に迷った際は、「たぶん大丈夫」で済ませず、必ず有資格者や専門機関に相談してください。適切な調査と報告を行うことは、作業員の命を守るだけでなく、会社としてのコンプライアンス体制を証明し、顧客からの信頼を獲得することに繋がります。





