2025年7月、千葉県佐倉市の施設にて、直流電源装置の更新工事に伴うアスベスト事前調査を実施しました 。調査対象は監視室の床材です 。
採取した試料をJIS A 1481-1(偏光顕微鏡法)に基づき分析した結果 、床材の「下地調整材」の層からアスベスト(クリソタイル)が検出されました(推定含有率0.1-5%) 。
調査は法令に基づく建築物石綿含有建材調査者が責任をもって対応し 、迅速に分析結果をご報告いたしました 。
調査概要
調査年月
2025年7月
調査場所
千葉県佐倉市
依頼背景(本件の工事におけるアスベスト調査の必要性)
本案件は、施設内の直流電源装置を更新する工事(改修工事)に該当します 。
工事の規模に関わらず、建築物の解体・改修作業を行う前には、労働安全衛生法および石綿障害予防規則(石綿則)に基づき、事前にアスベスト(石綿)の使用有無を調査することが必要です。
特に今回の工事では、床材の撤去や加工が伴う可能性があり、アスベストが含有されていた場合、作業員が飛散した粉じんを吸い込むリスクがあります。そのため、法令遵守と安全衛生の確保を目的として、専門の調査者による事前調査を実施しました。
調査内容
調査対象箇所
監視室:床材(下地調整材含む)
使用調査方法
現地目視・層別観察、サンプリング、偏光顕微鏡による定性分析(JIS A 1481-1準拠)
※調査は「一般建築物石綿含有建材調査者」の資格保有者が実施しました 。
調査結果
アスベスト含有の有無
監視室 床材:アスベスト含有あり
採取場所:監視室 床
層構成 :
・第1層(下地調整材):クリソタイル(アスベスト)含有 (0.1%~5%)
・第2層(下地):アスベスト含有なし
分析方法:JIS A 1481-1(偏光顕微鏡・定性)
分析の結果、床材の仕上げ材そのものではなく、その下にある「下地調整材(ライトグレー色)」の層からアスベストが検出されました 。
アスベスト含有率が0.1%を超えるため、この建材は法令上の「石綿含有建材」に該当します。撤去・改修の際は、粉じん飛散防止措置を講じる「アスベスト レベル3」に準拠した作業が必要となります。
写真
以下は現地での採取前・採取中・採取後の記録写真です 。
採取前写真

採取中写真

採取後写真

調査のポイント:床材におけるアスベスト含有の可能性
今回の事例のように、仕上げ材の直下にある「下地調整材」にアスベストが含有されているケースが非常に多く、注意が必要です 。
- なぜ下地調整材にアスベストが?
1960年代から1980年代にかけて、床の凹凸を平滑にするための下地調整材や接着剤に、強度向上、ひび割れ防止、作業性の改善(コテ伸びの良さなど)を目的として、アスベスト(主にクリソタイル)が混入されていました。 - 調査における重要性
見た目ではアスベストの含有は判断できません。仕上げのビニル床を交換するだけの「表層的なリフォーム」であっても、その下の接着剤や下地調整材を削る(ケレン、斫り)作業が発生する場合、アスベスト粉じんが飛散するリスクが潜んでいます。そのため、床材のサンプリングでは、仕上げ材だけでなく、その下にある層も含めて採取し、層別に分析することが極めて重要です。
現地対応と安全配慮
当日は、実際に工事を担当される業者様のスケジュールに合わせて訪問いたしました。
厚生労働省の定める「建築物石綿含有建材調査者」のアスベスト調査資格を保有する専門スタッフが、まず交換する電源装置の設置場所をお伺いします。その上で、工事の影響範囲と調査対象の床材(下地調整材含む)を確認し、代表箇所を選定しました。
サンプリングは、粉じんが飛散しないよう湿潤化を行い、手工具(タガネ等)による斫り作業で慎重に採取します。
採取後は、採取箇所からアスベストが再飛散しないよう、直ちにパテ(補修材)で密閉・補修いたしました。
「この床材は大丈夫?」「改修工事前に調査が必要?」など、アスベスト調査の必要性やアスベスト調査費用についてご不明な点がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。





