入居工事における石綿含有事前調査

2025年7月、静岡県駿東郡長泉町のビル一室で、オフィスの入居工事に先立つアスベスト事前調査を実施しました。採取した天井材の試料2点は、JIS A 1481-1に準拠した偏光顕微鏡法で分析しました。結果、2検体とも「アスベスト含有なし」と判定されました。調査は建築物石綿含有建材調査者が対応し、分析結果は採取から約1週間でご提出しています。

目次

調査概要

調査年月

2025年7月

調査場所

静岡県駿東郡長泉町

依頼背景

本案件は、オフィスビルの入居工事に伴い、内装の改修(間仕切り壁の設置など)が計画されていました。2022年4月の法改正以降、工事の規模や請負金額に関わらず、解体・改修工事を行う際はアスベスト事前調査が義務化されています。天井に穴を開けるといった軽微な作業も法令上の「改修工事」に該当するため、石綿障害予防規則に基づき、事前にアスベスト調査を実施する必要がありました。

調査内容

調査対象箇所

天井材(石こうボード) 2箇所

使用調査方法

現地目視・層別観察、サンプリング、偏光顕微鏡による定性分析(JIS A 1481-1準拠)

調査結果

アスベスト含有の有無

天井材:含有なし(2検体とも)

  • 検体1:通気口横天井(天井材)層構成:天井材(石こうボード)

    判定:アスベスト含有なし

  • 検体2:入口側パーテーション角 天井(天井材)層構成:天井材(石こうボード)

    判定:アスベスト含有なし

分析方法:JIS A 1481-1(偏光顕微鏡・定性)

写真

以下は「入口側パーテーション角 天井」の採取前・採取中・採取後の記録写真です。

採取前写真

アスベスト調査における検体採取時の画像のひとつで検体採取前の画像

採取中写真

アスベスト調査における検体採取時の画像のひとつで検体採取中の画像

採取後写真

アスベスト調査における検体採取時の画像のひとつで検体採取後の画像

調査のポイント

本件の工事におけるアスベスト調査の必要性

2022年4月1日の法改正により、建築物の解体・改修工事を行う際、工事の規模や請負金額に関わらず、アスベスト(石綿)の事前調査が元請事業者に義務付けられました。本件のようなオフィスの「入居工事」であっても、天井に穴を開ける、間仕切りを設置するといった作業は法令上の「改修工事」に該当します。そのため、工事着手前に使用建材のアスベスト含有の有無を把握しておくことが不可欠です。

アスベスト含有の可能性

今回の調査対象は、オフィスで一般的に使用されている天井材でした。

  • 石こうボード:製造年代によっては、2004年頃まで補強材としてアスベストが混入されていた製品が存在します。ジプトーンボードとも呼ばれます。

法令遵守と作業員の安全を確保するため、疑わしい場合は必ずサンプリングと分析による調査(JIS A 1481-1準拠)を実施する必要があります。

現地での特記事項(採取箇所の工夫)

オフィスの内装工事では、調査による採取跡がその後の美観を損ねないよう配慮することが重要です。弊社では、お客様の資産価値を維持するため、採取箇所の選定にも細心の注意を払っています。

  • 検体1(通気口横):通気口のフタを一時的に外し、フタで隠れる天井裏の部分から採取しました。調査後はフタを元に戻すため、採取跡は外から一切見えません。
  • 検体2(パーテーション角):まさに入居工事で新設が予定されている「間仕切壁」の設置ライン上から採取しました。この箇所は工事完了後に壁で隠れるため、採取跡が問題になることはありません。

現地対応と安全配慮

当日は、有資格者である建築物石綿含有建材調査者が現地にお伺いし、工事のご担当者様と施工計画を確認しながら、最適な採取箇所を特定しました。採取時は、粉じんが飛散しないよう湿潤化して作業するなど、安全配慮も徹底しています。

本件では、迅速な現地調査とスピーディーな分析報告により、入居工事のスケジュールに影響を与えることなく安全性を確認できました。

「この天井、アスベストは大丈夫?」「内装工事だけど調査は必要?」といったご不明点がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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ライター情報

アスベストバスターズ編集部は、アスベスト調査・除去に関する専門的知識を提供する編集チームです。
読者が直面するかもしれない問題に対処し、安全な作業環境を保証するための実用的なアドバイスと正確な情報を提供することを使命としています。アスベストバスターズ編集部は、アスベスト関連の最新情報を分かりやすく解説し、読者に信頼される情報源であり続けることを目指しています。

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