戸建て・マンションリフォームで失敗しないアスベスト除去Q&A

リフォーム工事におけるアスベスト対策は、現場責任者にとって避けて通れない重要課題です。法律の改正により「除去の前に必ず調査・分析が必要」という流れが徹底されつつある中、本記事では専門的な視点からQ&A形式でよくある疑問に答えます。戸建て住宅やマンションのリフォーム現場でアスベスト除去で失敗しないために、基礎知識から実践ポイントまで押さえておきましょう。

目次

Q1. アスベスト除去が必要になるのはどんなケースですか?

A: アスベスト除去が必要となるケースは、建物にアスベスト含有建材が存在し、それをリフォームや解体の対象となる場合です。具体的には、1960年代〜2000年代前半までに建てられた建物では様々な建材にアスベストが使われていた可能性があり、そうした部分に手を加える際には除去や封じ込め等の対策が求められます。以下に典型的なケースを挙げます。

  • 老朽建材の更新・解体: 天井や壁の吹き付けアスベスト(耐火被覆材など)は特に危険度が高く、飛散性レベル1に分類されます。そのままでは繊維が空気中に放出しやすいため、リフォーム時には最優先で除去すべきです。また、石綿含有の断熱材や耐火ボードなども工事で取り外す場合は除去が必要です。
  • 部分改修でも素材に注意: レベル2(成形板等)やレベル3(硬化したスレート板等)の建材は一見丈夫で飛散しにくいですが、切断・破砕する工事では繊維が飛び散る恐れがあります。たとえば古いスレート屋根の張替え、石綿含有の床材や接着剤の除去など、作業で粉じんが出る場合はやはり除去・収集作業が必要です。
  • アスベストが劣化して露出している場合: 設置後長年経過し劣化したアスベスト含有建材が崩れている場合は、リフォーム計画になくとも早急な除去が望まれます。例えば吹き付け材がボロボロ落ちている、古いボイラーの断熱材(石綿含有)が剥き出しになっている等は、周囲への曝露リスクが高いためです。

なお、2021年の法改正以降は工事の規模に関係なくリフォームや解体の前に該当部分の全建材についてアスベスト含有の有無を確認することが義務付けられました。仮に小規模な修繕であっても、該当箇所にアスベストが少しでも含まれる可能性があるなら、調査を依頼し、必要に応じて専門業者に除去や封じ込めをする必要があります。つまり、該当箇所からアスベストが見つかった場合は基本的に何らかの処置が必要であり、それが飛散リスクのある場合は除去工事に繋がります。

Q2. リフォーム前に実施するアスベスト事前調査はどのような流れで行いますか?

A: アスベストの事前調査(事前分析)は、法令で定められた手順に沿って専門の調査者が行います。リフォーム工事前の調査では見落としなく正確にアスベストの有無を判断することが重要な目的です。そのため、以下のようなステップで進められます。

  1. 書類確認と現地目視調査: まず建物の図面や築年数・改修履歴などを確認し、アスベスト使用の可能性がある部材を洗い出します。その上で現場をくまなく目視点検し、天井裏や壁内部など確認しにくい箇所も専門家がチェックします 。ここで疑わしい建材をリストアップします。
  2. 試料のサンプリング(採取): 疑わしい建材があれば、採取が目立たないようごく一部を切り取って試料とし、これを専門の検査機関に送ります。採取時は飛散防止のため防護服・マスク着用など安全対策を講じ、繊維飛散が起きないよう細心の注意を払います。適切な箇所から採取しないと正確な結果が出ないため、プロがポイントを見極めて行います。
  3. 分析(顕微鏡検査等): 検査機関で試料を分析し、アスベストの含有の有無含まれている場合は種類・含有率まで判定します。同じように見える建材でも含有結果が異なることもあるため、複数個所の試料分析が行われる場合もあります。分析には数日〜1週間程度かかることが一般的です(試料数や機関の状況によります。また特急料金を支払うことで納期を短縮することもできます)。
  4. 報告書の作成・説明: 分析結果をまとめた調査報告書が作成されます。調査報告書には、どの部位の建材にどれだけアスベストが含まれていたか、リフォーム工事に伴うリスクや推奨される対策(例えば封じ込めが可能か、除去すべきか)等が記載されます。調査者から結果の説明を受け、適切な工事計画を立てる材料とします。なお、一定規模以上の工事の場合はこの結果を所管行政へ報告する義務があります。

以上が基本的な流れです。事前調査を怠ると罰則の対象となる可能性もあります。必ず調査報告書を基にした計画を立案し、必要に応じて関係官庁への届け出を行ってください。このような綿密な調査により、リフォーム着工後に予想外のアスベスト発見で工事中断といった失敗を防ぐことができます。

Q3. アスベスト調査と除去工事の関係:なぜ除去前に事前調査が必要なのでしょうか?

A: アスベスト除去と事前調査・分析は一連のプロセスであり、切り離せない関係にあります。除去工事の前に調査が必要な主な理由は次の通りです。

  • 安全かつ的確な除去計画のため: 調査によってアスベストの有無・場所・レベル(飛散性)を把握することで、除去工事が必要かどうか、必要ならどの程度厳重な対策で行うべきかが判断できます。例えばレベル1の吹き付け材が見つかれば大がかりな除去工事を計画し、防護策も厳重に講じる必要があります。一方、調査でアスベストの含有がないことが判明すれば、特別な除去工事は不要となり、通常のリフォーム工事で済ませることができます。調査結果が工事計画のインプットになるわけです。
  • 法令遵守のため: 現在、リフォームや解体時には事前の石綿調査が法律上義務となっています。調査結果は所定の様式で記録・保存し、作業員にも周知しなければなりません。また一定規模以上では行政への報告も必要です。調査を経ずに除去作業を行うことは法令違反となり、万一不適切な作業で周囲に被害が出れば刑事責任や行政処分に発展しかねません。正規の手続きを踏むことで、法的リスクを回避できます。
  • 現場の安全確保・リスク低減のため: アスベストは非常に微細な繊維のため、知らずに作業を行うといつの間にか繊維を吸い込んでしまう危険があります。事前に調査しておけば、アスベスト含有が判明した箇所では適切な防護措置(エリアの隔離、負圧除塵機の設置、防護服・マスクの着用など)を講じた上で除去工事に臨めます。逆に調査不足のまま除去を行うと、作業者や近隣住民への健康被害リスクを高め、工事後にアスベストが飛散していたという最悪の事態を招きかねません。
  • コストと工期の管理: 調査を行うことで、除去が必要な範囲や適切な方法が事前にわかり、見積もりや工程を正確に立てられます。調査なしに工事を開始して途中でアスベストが見つかれば、工期の遅延や追加費用が発生します。事前調査は長い目で見ればコスト削減とスムーズな施工につながる投資といえます。

以上の理由から、アスベスト除去の前には必ず専門の調査・分析が必要なのです。調査結果に基づいて除去の要否・範囲を判断し、必要な場合は法律で定められた作業基準に則って安全最優先で除去工事を行う—これが失敗しない対応の鉄則です。

Q4. 信頼できるアスベスト除去業者はどう選べばよいですか?

A: アスベスト除去工事を安全かつ確実に行うには、信頼できる専門業者の選定が鍵となります。業者選びで失敗しないために、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 資格・許可の有無: アスベスト除去作業には法定の資格保持者が現場に必要です。代表的な資格は「石綿作業主任者」(除去作業の安全管理責任者)と「アスベスト除去作業技術者」(実作業者の専門資格)などです。また業者自体も都道府県や市町村から発行される作業許可証を取得している必要があります。資格・許可を持たない業者は論外ですので、必ず確認してください。
  • 経験・実績の確認: アスベスト除去の豊富な実績を持つ業者は、それだけノウハウを蓄積しています。過去に類似の建物や工事規模での除去経験があるかを確認しましょう。例えば戸建て住宅リフォームの案件経験が豊富な業者であれば、住宅特有の構造への対応も慣れており安心です。可能であれば施工事例や顧客の声も参考にすると良いでしょう。
  • 安全対策の徹底度: 現場での防護策や飛散防止策が徹底できる業者かを見極めます。具体的には、作業エリアをしっかりシールで隔離し陰圧機で粉じんを管理する、作業員全員が防護服・高性能マスク着用する、作業中・終了後に空気中濃度測定を行う、廃材を厳重に産業廃棄物処理する等、適切な手順を守る体制があるかチェックしましょう。安全対策を疎かにする業者は論外であり、少しでも不安を感じる業者は避けるべきです。
  • 見積もり内容の透明性: 良心的な業者は見積書にアスベスト除去に関わる費用項目を明確に記載します。例えば「養生費」「除去作業費」「廃棄物処理費」「分析調査費(再検査費用)」等が細かく示され、追加費用の有無も事前に説明してくれます。逆に「一式○○円」といった大雑把な見積もりや、極端に安すぎる提示をする業者は注意が必要です。後から追加請求されたり、適切な処理をしていない可能性もあります。適正価格で内訳が明朗な業者を選びましょう。

以上の点を総合して判断すると良いでしょう。なお、除去業者を選ぶ前提として事前調査結果の共有が必要です。調査報告書をもとに複数社から見積もりを取ることで、より適切な比較検討ができます。また我々アスベストバスターズではアスベスト事前調査・分析の専門サービスを提供しており、調査結果に応じて信頼できる除去専門業者(パートナー会社)をご紹介することも可能です。業者選びに不安がある場合は、ぜひ専門調査会社にご相談ください。

Q5. アスベスト調査や除去の相談はどこにすれば良いですか?

A: アスベスト対応について不明点や不安があれば、まずはアスベスト専門の調査・分析会社に相談することをおすすめします。専門会社であれば、建物の状況をヒアリングした上で適切な事前調査プランを提案してくれますし、必要に応じて現地調査も迅速に手配してもらえます。調査の結果次第では除去が不要となるケースもあり、無駄な工事を省ける可能性もあります。

おわりに

我々アスベストバスターズは、アスベストの調査・分析に特化したサービスを提供しており、調査事例も随時ご紹介しています(アスベストバスターズ調査事例)。法改正で義務化された事前調査について、有資格者(建築物石綿含有建材調査者)が現地確認から試料採取・分析まで一貫して対応いたします。自社では除去工事は行いませんが、調査の結果、除去が必要と判明した場合には信頼できるパートナー企業をご紹介し、スムーズに次工程へ進めるようサポートします。調査のみを専門に行う立場だからこそ、中立かつ正確な診断を心がけております。

まずはお気軽にご相談ください。「アスベストかもしれないがどう対応すれば…」といった段階からでも構いません。事前に相談いただくことで、適切な調査〜対策の流れをご案内し、リフォーム工事でのアスベスト対応の“失敗”を未然に防ぐお手伝いをいたします。

最後に改めて強調しますが、アスベスト除去で失敗しないための最大のポイントは工事前の確実な事前調査と専門家への相談です 。適切な調査なくして安全な除去作業はありえません。リフォーム現場の責任者として、法律と安全対策を遵守しつつ、専門家の力を借りながら万全の準備を進めてください。それが結果的に迅速で安心なリフォーム工事の成功につながります。各種ご相談や見積り依頼は『アスベストバスターズ(お問い合わせ)』までぜひお寄せください。お客様と作業従事者、そして近隣への安全を第一に、誠心誠意サポートいたします。

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ライター情報

アスベストバスターズ編集部は、アスベスト調査・除去に関する専門的知識を提供する編集チームです。
読者が直面するかもしれない問題に対処し、安全な作業環境を保証するための実用的なアドバイスと正確な情報を提供することを使命としています。アスベストバスターズ編集部は、アスベスト関連の最新情報を分かりやすく解説し、読者に信頼される情報源であり続けることを目指しています。

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